多くのOEMで、CATIA V5からCATIA V6へのマイグレーションが検討されているようです。
最近、取引先から、CATIA V5からCATIA V6へのマイグレーションが検討していると耳にします。わたしたち(自動車部品サプライヤ、タイ現地法人)も、準備計画を進めていかなければなりません。
今回は、改めてV5と比較しながら、V6とは何か、移行に際しどのような準備が必要なのか、見ていきましょう。
[概要] CATIA V6とは
- CATIA V6とは
-
- CATIA V6はCATIAV5の後継
- 2008年、CATIA (CAD)とENOVIA (PLM)が融合して誕生
- 2014年、「CATIA V6」の呼称が「3DEXPERIENCE CATIA」に変更
- 最新バージョンは、3DEXPERIENCE CATIA R2024x (2025年1月現在)
-
なるほど。「CATIA V6」は「3DEXPERIENCE CATIA」のことなんですね。
[比較] CATIA V5とCATIA V6の違い
- システムの違い
- CATIA V5: 単体で稼働するCADソフト
- CATIA V6: 情報の一元化、情報共有を強化する3DEXPERIENCEプラットフォーム上で提供されるCADアプリ
*『3DEXPERIENCEプラットフォーム』とは… ダッソー・システムズのPLM、3Dモデリング、解析、製造管理等のあらゆるソリューションを、共通のユーザー・インターフェースで活用できる環境。
CATIA V5が設計部門でのみ使用されるCADソフトウエアなのに対し、CATIA V6は設計部門に留まらないビジネスプラットフォーム上で稼働するCADアプリなのですね。
- インターフェース・操作の違い
- CATIA V5の操作や機能を維持し、新たな機能を提供
- CATIA V6: 3DEXPERIENCEプラットフォーム上で提供されるCADアプリ
機能は増えつつCADの操作性は大きく変わらないので、CATIA V5からCATIA V6への移行もスムーズに実施できますね。
- CADデータ管理の違い
- ファイルベース管理のCATIA V5から、データベース管理のCATIA V6へ
“ファイルベース“の問題点…
-
- × 必要な最新データがどれか分からない
-
- × 古いデータを参照して設計作業
-
- × 同一部品データが様々な別名で存在
-
- × 手戻り 等々…
“データベース“の利点…
-
- ✓ 常に一元管理された最新更新データへアクセス
-
- ✓ データ状態をリアルタイムで管理
-
- データの所有者は誰か
-
- 誰がデータを使っているのか
-
- 今現在のデータの状態 (作業中、承認中、リリース済み)
-
- データのバージョン 等々…
-
- ✓ データ状態をリアルタイムで管理
これまでV5では、データを検索にものすごく時間と労力を要していました。V6ではそれが効率的になり、離れた拠点間や、異なるチームでの協業も、効率よく出来るようになりますね。
[互換性] CATIA V5とCATIA V6間でのCADデータの互換性
- V5→V6の互換性
- CATIA V5からエクスポートしたのCATIA V5形式データをCATIA V6にインポートンポートすることできます。
- V6→V5の互換性
- CATIA V6から CATIA V5形式でデータをエクスポートすることができます。このデータはCATIA V5形式でインポートすることができます。
*詳細は、過去のブログでもご紹介しています。
V6と既存のV5間で互換性がある、CATIA V5形式のデータで協調作業ができますね。
[準備・計画] V6のソフトウエア、及びハードウエアについて
- ソフトウエアの準備・計画
- CATIA V6のライセンスは、「新規購入」か「既存のCATIA V5からCATIA V6への移行」をお選びいただけます。
- 「既存のCATIA V5からCATIA V6への移行」は、「新規購入」と比較して、少ない費用で実現できます。
- 「既存のCATIA V5からCATIA V6への移行」は、ニーズに応じ、様々なマイグレーションパスが準備されています。(例: HD2 => PCS+MES, HD2 => PCS+MES+TAD, MD1 => PCS+SMW, MD2 => PCS+M3S等)
必要性と費用を比較しながら、新規で導入するのか、マイグレーションするのか、投資を検討していく必要がありますね。
- ハードウエアの準備・計画
- CATIA V6は、1台だけのご利用でも、必ず3DEXPERIENCEサーバの導入が必要です(On-Premiseの場合)
- タイで3DEXPERIENCEサーバを導入するのか、タイではFCSサーバを導入し3DEXPERIENCEサーバは日本本社のものを使用するのかなど、業務フローに合わせて準備・計画が必要です
- DSLSサーバやワークステーションは、既存のCATIA V5の用ものを引き続きご利用いただけます ※スペックによる
ソフトウエア、ハードウエア、教育や導入サービスなど、NSSではワンストップでサービスを提供しています。是非ご相談ください。
設計部門だけでなく、他部門とも相談しながら、予算・導入計画を進めていきます。